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まず気にしないで欲しいのは、僕が花粉症かどうかって事。 次に無視しないで欲しいのは、僕がこの格好をそんなに嫌っていない事。 まあ色々あったんだけど、どこから話すかな…
2ヶ月ほど前の事…飛行機のシートに座れるのは人間だけらしい。 このルールを作った人は何て物知らずなんだ…猫も椅子に座れるのに…! …僕も毛皮仲間と出掛ける用があったし別にどうって事なかった。 手紙からは皆の楽しそうな匂いがしたけど、どうって事ない。
まず毛皮仲間を集める前に、皆の席を用意しておかなくちゃならなかった。 (もちろん、猫が座れる席!) 猫同士で集まる時は自分の席が決まっているものだ。 飛行機も同じじゃ無いのか?…まあ良いや。
次はオヤツ(オヤツは大事だ)を調達しにマーケットに行ったんだが… 見知らぬ犬が店先に居たもんで、足と息を止めた。 たぶんご主人が中に入ったんだろうと思うんだけど、 散歩でもして時間を潰せば良いのに。ほんと全然動かなかったんだよ…
その時、毛皮仲間のリトルディが声を掛けてきた。 彼のパートナーの魔女から、約束の時間の前にお使いを頼まれていたらしい。 「胸を張って行こうじゃないか。臆する必要なんて無いよ?」 自信家の彼はそう言うけど…挨拶した事がない犬はちょっと…
リトルディと一緒に店に入ったんだけど、入れ違いであの犬のご主人が出て来た。 犬ってのは本当に凄いね… 名前を呼ばれた瞬間にはもう、彼はこちらに見向きもしなかったからね… えーと、何を買いに行ったんだっけ?
そうだ魚だ! 集会を開く僕達分の魚を注文していたんだが、 店主のお爺さんが気前良くオマケサイズにしてくれたんだよ! 僕達も気前良く2回分押してあげたよ (10個スタンプが貯まると1つお願いを聞いてあげる魔法のカードだ)
リトルディと一緒に魚を持って集会場所(僕の部屋だ)に向かう途中、 何かを囁く聞き慣れた声がした。 …ポインタップも懲りない奴… 「素晴らしき哉、猫の恋!」とは言うが… その、彼の身の振り方は何と言うか、そうだな… まさしく"猫"なんだ。
ポインタップはいつもの調子で…… ちょっぴり痛い目にあってたんだけど、普段の彼は切れ者なんだ!本当に。 今回は乗り切れなかったけど…
その後は失恋ソングを歌うポインタップを励ましながら(これもいつもの事だ)、3匹で手を繋いで歩き出した。 歌は上手いんだけどなぁ… 女の子に詩を送るにはもう少し練習が要るみたいだ…
気を取り直して、大きい魚をみんなで運ぶことにした。 これで猫の手が3匹分だしあっという間に家に着くな …そう思うだろ? しばらく歩くととんでもない騒音がしたんだ! 一瞬で僕たちは目を丸くしてしまった…! ほんと凄い音だった!想像できるかい?
そりゃもうおったまげた! 騒がしいなと思ったら何故かドラゴンが暴れてるし、 ドラゴンが暴れてると思ったら何故か毛皮仲間のお嬢さん… 僕らのジンクスが頭に乗ってるんだから!
ジンクスが困った状況になってる! 僕達は急いで助け出そうとして引っ掻いたり噛み付いたり、 後脚で蹴りをお見舞いさせたりした。 ……すると、倒れたドラゴンが1枚の封筒になってしまった。 でもジンクスはまだ困った状況だったみたいでね…
一緒に暮らすお爺さん(もちろん魔法使い)を手伝って、 お母さんが魔法で手紙を出していたらしい。 それを手伝うために手紙を預かって、自分で手紙を出そうとしたら… 気持ちが伝わる"ジンクス"を試したつもりが、 レタードラゴンになってしまったらしい。 一体手紙に何て書いたんだ…
ここでリトルディの出番だ。 彼は自信家なんだけど、相手に自信を持たせるのも天才的なんだ。 僕達が散らばった手紙を集めている間に、 ジンクスの書きたかった言葉を引き出していった。 受取人(猫かな?)は知らないけど、街で一番の可愛い手紙が届くだろうな。
ここからは別行動だ。 猫の小道を使って手紙を届けるのと、 魚を家まで持ち帰るのとで二手に別れた。
もう急ぎ足!あと少しで魚が食べられる! …のも楽しみだけど、約束の時間まであと少しだったから! 小走りで街中を通ったんだが、ミドルテールが魔法学校の子供達と街の飾り付けをしてるのを見かけた。そう言えばハロウィンもあと少しだったね。
この間会った時ミドルテールは 「人間の子供とはあまりお近付きにはなりたくない」なんて言ってたけど、 魔法学校の子だから問題は無いのかな? そう言っていた割には随分…… そうだな、楽しげに見えた。
ミドルテールも誘って3匹で集合場所に…と思ったら、 魔法学校の子がひとり泣きべそをかいてた。 スクールバッジを玉にしてパチンコ遊びしてたら、 間違えて噴水の中に落っことしたらしい。 こりゃミドルテールでも届かないな… (雨以外だと猫は足先しか水に浸けちゃいけないんだ)
泣いてる子の帽子を借りて僕が人型に変化した方が早いな? …魚が駄目になる事も少し考えたけど、泣いてる子が居るなら仕方ない。 猫は子供の泣き声も苦手だ、お安い御用だよ。 (でもあんまり水が冷たかったので腰が引けたよ!皆で応援してくれたんだ…)
スクールバッチを見付けるまで時間がかかっちゃったけど 何とか見付けて渡すことができた。 …魚もまだ大丈夫そうだったし、ようやっと出発できるぞ! (実は1回水の中で転んじゃったんだけど…そこは省略で良いだろ?)
ミドルテールは子供達の引率が終わったら集合場所に向かうらしい。 誘おうとしてたけどもちろん魔女猫仕事が優先だ。 またあとで、と言い合ってまた別行動… 途中の墓地で幽霊と墓守に挨拶して、 僕らは改めて急ぎ足で向かった。
コンクリートで舗装された大通りじゃなく、 その大通りのど真ん中にあるボロボロの人間の家を通らせて頂いた。 (猫宛の“立ち入り禁止”が無いんだ) …いつも砂浴びする場所にシートが掛けられてた! しかも猫避けスプレー付き…(これは猫宛…)
約束の時間まで残りあと少し! 集合場所に到着したけどここからが正念場だ。 予定より大きい魚が手に入ったから包丁で切り分けたり… (他の毛皮仲間には秘密なんだけど…運んでくれたリトルディには 一口多くあげたんだ、君もみんなに内緒だぞ)
あとは魚を食べないように我慢しながら待つだけだ! …そう言えば手紙が来てたな。 クローバーで作った指輪も入ってたんだけど… 差出人の名前も無いし、たぶん旅行に行ってる子供達の友達からかな? (魅力的な文面だったけど、何故かリトルディは溜息ついてた)
夜も更けて来た… すると窓から「おまたせ!」と聞こえて来た。ポインタップとジンクスだ! 真っ暗だったもんで玄関じゃなくて窓に辿り着いたらしい… (猫には窓も扉も同じだから難しいんだ) 早く入っておいで、と伝えたかったので魚の切り身を見せてやった。
玄関に回ってみるとちょうどミドルテールも来ていた。 あの生徒も一緒で、僕の財布とお礼の花輪を持って来てくれた! (濡れるから持って貰ってたんだった…) ミドルテールも花輪を貰ったみたいで首に掛けてたよ、似合ってると思う。 …これで全員集まった!
猫集会は近況を聞いたり情報共有する場なんだ。 食事会が終わるタイミングで外から聞き慣れた声がいくつか聞こえて来る! あれ?ホウキで帰って来たのか… 話を聞いたら帰りの便が悪天候で飛ばなくなったんだってさ。 猫が乗ってないと上手く飛ばない日もあるのは飛行機だって同じさ
「すごく楽しかった」「手紙に書いたと思うけど…」 なんて次々に思い出話を聞かせてきた。 それに「首の花輪は何?」とも聞かれたかな。 ま、僕は猫だからね… 「猫には猫のすべき事があってね、留守番中でも花くらい貰うものだよ」 と答えておいた。
僕は実に立派な魔女猫だからクールに努めた。 …でも僕は寂しかったのに誰も僕のこと思い出さなかったなら更に寂しくなるな… パートナーのエイプリル(彼女が魔女だよ)から帽子をキャッチした瞬間… 思わず目を丸くした。 旅行中、猫の僕が喜ぶものを見つけてお土産にくれたんだ!
沢山の花輪を彼女(僕の友達でもある魔女)にコーディネートして貰った! 予定より参加者は多いけど魚はたっぷりある。 皆も楽しそうにしていたし、僕も嬉しくなってついついお帰りのハグをしたんだ ーーだからつまり、この格好は凄くお洒落って事さ